理学療法の科学と研究
Online ISSN : 2758-3864
Print ISSN : 1884-9032
研究論文
フィジカルチェックから肘の離断性骨軟骨炎の存在を推定するシステム
亀山 顕太郎鈴木 智古沢 俊祐宮島 恵樹木島 丈博石井 壮郎落合 信靖
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 6 巻 1 号 p. 6_29-6_34

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抄録

 本研究では,肘の離断性骨軟骨炎(以下OCD)を現場で早期発見するために,フィジカルチェックからOCDの存在確率を推定するシステムを開発した。
 投球障害予防教室に参加した小・中学生221名に,問診・理学検査・投球フォームチェック・肘の超音波検査が行われ,その後,医療機関の二次検査で4名の選手がOCDと診断された。これらの記録をデータベース化し,OCDに関連する項目を統計学的に調査したところ,「過去半年以内に投球肘痛の既往があること」,「投球肘の伸展制限があること」,「片脚立位バランステストが陽性であること」,「肩-肩-肘ラインがずれていること」の4つの因子がOCDと関連していた。これらの因子とベイズ理論を組み合わせることで,フィジカルチェックから各選手のOCD存在確率を推定するシステムを構築した。このシステムを用いることで多数の少年野球選手をスクリーニングでき,OCDの早期発見に寄与することが期待される。

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© © 2015 一般社団法人 千葉県理学療法士会
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