2017 年 8 巻 1 号 p. 8_13-8_16
【目的】感覚障害を客観的に評価する事が可能な体性感覚誘発電位(somatosensory evoked potential:以下SEP)は上肢感覚機能についての報告はあるが下肢感覚機能についての報告は少ない。当院の臨床検査科で利用されているSEP下肢機能検査結果と日常臨床上使用されている理学療法士(以下PT)による下肢感覚検査結果との関連性を検証した。【対象・方法】対象は回復期病棟に入院した初発脳卒中片麻痺患者79名であった。入院時のPTによる感覚評価と入院時のSEPによる感覚評価の関連性について比較検証した。【結果】深部感覚と下肢SEPに有意な相関(r=0.83,p<0.01)と強い相関が認められた。また,表在感覚と下肢SEPも有意な相関(r=0.74,p<0.74)が認められた。【考察】脳卒中患者に対する感覚検査として,下肢SEP検査は以前よりも波形を読み取りやすくなった。SEPを利用することでこれまで把握できなかった理解や表出が困難な対象者に対して客観的に感覚機能を評価する上で一つの指標と考えられる。