本研究では,一般消費者に対して効果的な「打消し表示」の考案と,その効果検証を研究目的としている。先行研究の知見から,多くの消費者は広告の体験談に対する打消し表示を認識していないか,たとえ認識したとしても打消し表示によって体験談から受ける印象・評価が変容することがほとんどないことが明らかになっている。そこで本研究では,閲覧者の「選択的注意」を促す打消し表示を考案し,その表示の有無を条件としたランダム化比較試験を実施した。具体的には,使用者の体験談にて痩身効果を期待させる健康食品・サプリメント広告において,「あなたには効かない可能性があります」との打消し表示を行った場合(実験群)と「効果には個人差があります」との打消し表示を行った場合(対照群)の比較である。実験の結果,「あなたには効かない可能性があります」との打消し表示を行った場合,商品効果に対する主観的な評価が有意に低くかった。打消し表示の表現方法によって閲覧者の主観的評価が変わり得ることが示唆された。ただし,その差は小さい効果に留まっており,さらなる検証,およびその解釈についての議論が必要である。