2024 年 13 巻 1 号 p. 51-64
本論文では,首都直下地震に関する防災啓発を説得するようなテレビのキャンペーン放送の前後で,縦断型のインターネット調査を実施し,防災行動への効果について実証した。実際に番組を視聴した人を4つのグループに類型化し,どの程度,「地震への準備」を行うのか,また追加で情報接触を行うのかなどの分析を行った。
その結果,まず,受け手が番組を視聴して,これまでに「地震への準備」を行っていなかった人が説得的なメッセージによって行うようになる,という行動変容はあまりみられなかった。むしろ,従前より積極的に「地震への準備」を行い,かつ,首都直下地震によって被害を受けると考えているようなグループが既存の行動を強化するという補強効果を強く支持する結果が得られた。次に,こうした人びとは番組視聴後に首都直下地震に関する情報に積極的に接する傾向がみられた。首都直下地震によって被害を受けると考えていても「地震への準備」を行っていないようなグループが積極的に情報に接触する傾向が見られなかったことから,こうした人びとに対して,どのように他のインターネットなどの情報へ誘導するかが課題として明らかとなった。最後に,番組は首都直下地震によって被害を受けるという認知面において,効果がみられた。そのため,こうした人びとに対するアプローチという点からはキャンペーン放送の効果がみられた。以上の結果より,防災啓発番組は受け手の被説得性をふまえ,効果を最大化させることが必要といえる。