ビッグデータは情報社会における最新の流行語の一つとなり, 日経や野村総研などが盛んに使ってそのビジネスを盛り立てているが, 他方, ビッグデータ利用がもたらすプライバシー侵害問題についても, 日立とJR東日本の事例のように注目を集めることがある。本論文では第1節でビッグデータの中身を再検討し, 第2節でビッグデータによるプライバシー侵害問題の特徴を述べ, 第3節では, いわゆる「監視社会」が, ビッグデータと人工知能技術の結びつきによって, 人間の判断が機械に肩代わりされるような社会へと向かっていく可能性および危険性を論ずる。