社会情報学
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総会シンポジウム報告
ガバニングとソサエタル・メディア:ソサエタル・ガバナンスにおけるメディアのリエゾン機能
高橋 徹
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2016 年 4 巻 2 号 p. 65-75

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抄録

現代社会はローカルにもグローバルにも様々な問題に直面している。これらの問題に対して, 多様なスキルや専門性をもつアクターが, 多様なコミットメントの形態をとりながらボーダーレスな連携・協力関係を構築して取り組んでいる。その状況は, 官/民のような社会領域の伝統的二元図式やローカル/グローバルといった空間的図式さえも陳腐化させつつある。本稿では, そうした現代的な社会構築の営みをソサエタル・ガバナンス概念によって描き出そうとした。「ソサエタル」という形容詞が示すのは, 政治・経済・科学・法・芸術のような社会的諸領域の自律性を前提としたうえでそれを包括するような社会秩序の地平である。様々な取り組みのボーダーレス化が進む現代では, そのような社会的地平は, ローカル/グローバルのような空間的諸水準をも包括する世界社会として立ち現われる。本稿では, ソサエタル・ガバナンスの取り組みをアドヴォカシー, 資源調達, 連携促進の三側面から支援するメディアのカテゴリーとして, ソサエタル・メディア概念を提起した。このメディアは, 支援や連携を必要とするアクターたちを支援者や協力者たちと結びつけるリエゾンメディアとしての役割をもつ。それによってソサエタル・ガバナンスの取り組みが機動的に展開されるための条件が整えられる。本稿では, ガバナンスとメディアに関するこれらの概念を対概念として定式化し, それによってガバナンス論との邂逅によってもたらされる社会情報学の一つの視点を提案したい。

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© 2016 一般社団法人 社会情報学会
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