社会情報学
Online ISSN : 2432-2148
Print ISSN : 2187-2775
ISSN-L : 2432-2148
総会シンポジウム報告
現代民主主義におけるガバナンスの課題
岩崎 正洋
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 4 巻 2 号 p. 55-64

詳細
抄録

本稿は, 学会シンポジウム「ガバナンスの社会情報学—リスク・監査・アカウンタビリティ」において, コメンテーターとして発言した内容をふまえて, まとめたものである。本稿では, 政治学の立場からガバナンスを考えるが, とりわけ, 現代の民主主義におけるガバナンスを対象としている。政治学では, 現代の民主主義において, どのようにガバナンスが機能するのかという問題が一つの論点となっている。もちろん, ガバナンスの研究が政治学の専売特許であるというつもりはないが, ガバナンスという言葉に含まれる「統治」という意味合いが政治学の主要なテーマであることを考慮すると, ガバナンスの社会情報学について考える際に, 政治学の立場から議論に加わることには意義があると思われる。本稿では, 「リスク」, 「監査」, 「アカウンタビリティ」という三つの点からガバナンスが機能しているのか否か, 機能する際に何らかの問題があるとすれば, それは何かを検討していく。それによって, ガバナンスという一つのキーワードを通して, 社会情報学と政治学との結節点がみえてくるように思われる。さらにいえば, 社会情報学から政治学への知的貢献も見出し得ると思われるし, 同様に, 政治学から社会情報学への何らかの知的貢献も見出し得ると思われる。

著者関連情報
© 2016 一般社団法人 社会情報学会
前の記事 次の記事
feedback
Top