社会情報学
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研究
英国における外部独立製作番組のネット配信に向けた著作権等の利用と保護に関する法的枠組み
数永 信徳
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2020 年 8 巻 3 号 p. 207-222

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抄録

いつでも,どこでも,ネットに接続してコンテンツを視聴することが可能になり,人々の視聴習慣に変化が生じてきている。そのため,テレビやネット配信といったメディアを問わず,国民・利用者が多様で良質なコンテンツを視聴できる環境を確保することが,必要不可欠となっている。

英国では,多様で良質なコンテンツを確保するために,主要放送事業者に対して,外部独立製作番組割当規制(クオータ制)を遵守することが義務づけられている。この外部独立製作番組も含め,BBCやITVなどの主要放送事業者は,2007年から先駆的に「同時配信」や「見逃し配信」等の動画配信OTTサービスを展開してきた。それゆえ,当然の帰結として,英国では,早い段階から外部独立製作番組のネット配信に向けた著作権等の利用と保護に関する法的枠組みが構築されてきた。

そこで,本稿では,外部独立製作番組のネット配信に向けて,「どのメディアかではなく,いつの時点での利用か“when, not where”」という考え方を出発点として議論されてきた英国の先行事例を検証していくこととする。はじめに,クオータ制を構成する「量的目標」,「独立製作事業者の定義」,「著作権等の基本原則」の三要素を概観する。その上で,外部独立製作番組のネット配信に向けた共同規制による著作権等の利用と保護に関する「合意形成」の過程を考察していく。

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