抄録
著者は複数の大学院で個人レベルのソフトウェア開発プロセスPSP のトレーニングコースの講義を担当してきた.例えばその一つの九州工業大学大学院では実践的人材育成の一環として個人/チームの開発プロセスPSP/TSPi の教育を行い,大学院学生レベルでも生産性を落とさずに品質向上を達成するなどの実績をあげている.しかしながらそのようなコースの実施への取り組み方は大学院間で一様ではなく,コロナ禍の影響下での実施方式にも相違があった.さらに,ソフトウェア開発を取り巻く環境,大学に期待される社会的役割の変化などにより,求められるソフトウェアプロセスやその教育の多様性も増している.そのような状況に系統的に対応するために,ソフトウェアプロダクトライン技法をPSP コースに適用する.これまでもソフトウェアプロセスにプロダクトラインの技法を適用する取り組みはなされているが本研究は大学でのプロセスの教育・研究に焦点を当てている点に特徴がある.