抄録
本研究は、地方分権化における地域福祉サービスのあり方を、市町村合併に着目して評価・検討することを目的とする。具体的には、サービス供給主体である市町村及び社会福祉施設から見た、福祉・介護分野、特に老人福祉における市町村合併・広域行政の実態と、広域圏・市町村合併を行う地域・単独市町村という異なる行政レベルで今後の課題を明らかにし、公的サービスがいかなる役割を担うかを論ずる。結果、広域圏では、均一なサービス提供のための計画策定、運営において、福祉・介護分野における主体の一元化を行うこと、合併を行う地域は、行政と民間のファシリテーターとして市町村が役割を担うこと、単独市町村ではPFI等を用いて総合的に福祉・介護サービスを展開することの重要性が明らかとなった。