電気推進を用いた軌道間輸送機の質量と輸送コストについて調査した. まず電気推進システムの理論式において, 質量とコストそれぞれを最小化する推進機比推力を検討し, 後者の方が低い比推力になることを示した. 次に, JAXAで開発中の技術試験衛星9号機をもとに, 静止軌道までの軌道間輸送機の質量とコストモデルを構築し, 感度解析を行った. 結果として, これまであまり議論されてこなかった, 電力系・推進系の比質量[kg/kW]の影響が大きいことがわかった. また, 現状達成可能な比質量範囲では多くの場合, 低軌道ではなく静止トランスファ軌道を出発軌道として静止化を行った方が, 質量・コストメリットが得られやすいことがわかった.
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