近年、情報の量子化という観点から電子のスピン自由度を応用する研究が注目されている。ラジカルは不対電子を持つため、スピントロニクスの発展のための特に有望な材料である。その分子の構造や電気的な特性は、スピンのスイッチングの可不可に大きな影響を与える。そこで今回、1,3,5-triphenyl-6-oxoverdazyl (TOV)と1,3,5-triphenyl-6-tioxoverdazyl (TTV)の二つのラジカルをAu(111)上に蒸着させた後、その吸着構造とスピンについて超高真空・極低温で走査型トンネル顕微鏡をもちいて調べた。