2021 年 10 巻 1 号 p. 41-44
ヒトの体内で過剰に生じた活性酸素(ROS)は酸化ストレスとして作用し、老化の要因となることが明らかになっている。モデル生物である線虫においても、ROSと老化に深い関わりがあることが明らかとなっている。線虫に対して、体内でROSを生産させるための化合物としてパラコートが用いられている。高濃度パラコート(100 mM)は、線虫に対して体内のROSを増加させ致死的に働くが、低濃度パラコート(0.1~0.2 mM)は、線虫に対して体内抗酸化酵素活性を上昇させ、寿命を延長させる。一方、数mM~数十mMのパラコートが線虫に与える影響についての報告は少ない。そこで、本研究では2.5~10 mMのパラコート処理が線虫に与える影響について、体内のROS生成及び抗酸化酵素(SOD、CAT)活性に着目して解析を行った。その結果、パラコート処理の期間が長いほど、またパラコート濃度が高いほど体内ROS生成量が増加し、SOD活性が上昇することを明らかにした。