科学・技術研究
Online ISSN : 2187-1590
Print ISSN : 2186-4942
ISSN-L : 2187-1590
原著
カプセル化したサッチ分解菌の糖類添加による活性維持の効果
服巻 晃志大角 義浩清山 史朗塩盛 弘一郎幡手 泰雄武井 孝行吉田 昌弘
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2021 年 10 巻 1 号 p. 37-40

詳細
抄録

芝生は、家庭や公園のような身近な場所からゴルフ場などの広域なものまで、様々な場所で利用されている。芝生が生育する場所では、管理のために定期的に芝刈りを行う必要がある。芝刈りで発生する刈かすは、堆積してサッチ層となり、芝の目詰まりや病原菌の温床となることから、芝に様々な障害を引き起こす。そこで本研究では、微生物(サッチ分解菌)の分解能力に着目し、カプセル化することでサッチ層の除去効果を持続させるための基礎的検討を目的としている。 具体的には、サッチ分解菌の選定およびアルギン酸カルシウムを璧材としたサッチ分解菌内包カプセルの調製を行い、さらに糖類溶液(グルコース、スクロース、トレハロース)による保護剤処理によって、サッチ分解菌の長期安定化を試みた。候補となる複数のサッチ分解菌でセルロースの分解試験を行った結果、Bacillus pumilus NBRC12092を選択した。保護剤処理をカプセルに対して行うことで、カプセル内の分解菌を乾燥処理による負荷から保護することができた。 保存安定性試験では、カプセルの形状を崩壊することなく保ち続け、0.2 mol/Lスクロース水溶液を用いた保護剤処理を行うことで、21日経過した後もカプセル中で約108 CFU/gと高い生菌数を保持していた。さらに、サッチの主要成分であるセルロースの分解能力も維持していた。

著者関連情報
© 2021 科学・技術研究会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top