科学・技術研究
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名前の読みを制限する戸籍法改正は、個性的な名前を減少させるか?
荻原 祐二
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2023 年 12 巻 2 号 p. 121-124

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抄録
本稿では、2023年に成立し2024年より施行予定の戸籍法改正の概要をまとめながら、戸籍法の改正が名づけ・命名に与える影響、特に個性的な名前の出現頻度に与える影響について議論した。今回の戸籍法改正には、戸籍に氏名の読みが新たに登録されることと、氏名に用いられる漢字の読み方が制限されることという2つの大きな変更が含まれている。しかし、この2点は、執筆時点(2023年9月)で公開されている情報に基づけば、個性的な名前の出現頻度に大きな影響は与えないと予測される。少なくとも、これまでの個性的な名前の割合の増加傾向が反転する、つまり個性的な名前の割合が減少するほどの影響はないと予測される。戸籍に氏名の読みを登録することが義務付けられる前から、氏名の読みは他の多くのデータベースには既に登録され、出生時に与えられた名前の読みは変更しないことが一般的である。そのため、戸籍に読みが登録されることになっても、名づけには大きな影響はないと考えられる。また、漢字の読みが制限されるものの、これまでと同様に、「戸籍法等の改正に関する要綱案」に記された「幅広い名乗り訓等を許容してきた我が国の命名文化を踏まえた運用」が行われる限り、個性的な命名は許容されており、その頻度が制限される程度は低いと考えられる。
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