科学・技術研究
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原著
エルゴチオネインと食習慣との関連
A市の事例からの検討
山崎 あかね田中 マキ子
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 13 巻 2 号 p. 109-114

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抄録
エルゴチオネイン(EGT)はキノコなどの菌類や一部の細菌に多く含まれており、抗酸化作用が高いことが知られている。また、EGTは老化や疾病に関与しており、体内濃度を保つことが健康寿命延伸につながると期待されている。そこで、本研究では40歳以上の男女を対象に食習慣とEGT含有量の関係について検討し、どのような食習慣がEGT含有量を高めるのかを明らかにすることを目的とした。調査内容は、身体計測、血液検査およびBDHQとした。食品摂取量との関連では、全対象者でEGTときのこ、豆類、とうふ・油揚げに正の相関が認められた。さらに、栄養素摂取量においては主に大豆に含まれる栄養素であるダイゼイン・ゲニステインの摂取量に正の相関が認められた。また、女性においてEGTの血中濃度と血中中性脂肪には負の相関およびHDLコレステロールと正の相関が認められた。EGTはキノコ類に多く含有されていることから、今回のきのことの相関については妥当であると判断する。しかし、EGTは豆類にも種類によって多少は含まれているが、先行研究では大豆にはほぼ含まれていないとされていることから、本研究の対象の地域で消費されている大豆製品に関連している可能性が示唆された。以上のことから、生活習慣病や老化に伴って起こる様々な疾病を抑制し、健康寿命延伸の一助となることが期待されるEGTの血中濃度は、きのこだけではなく、豆類、とうふ・油揚げの摂取量が多いほど高くなることが認められた。さらに、血中中性脂肪やHDLコレステロール値にも深くかかわっている可能性が示唆された。
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© 2024 科学・技術研究会

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