2020 年 5 巻 4 号 p. 173-178
【目的】Anterior condylar confluence(ACC)硬膜動静脈瘻の術前検討に,対側流入血管撮影が有用であった症例を経験したので報告する.【症例】53 歳女性.半年前から右拍動性耳鳴を自覚し, 3 カ月後に同側の眼痛と結膜充血,眼瞼腫脹を認めた.MRA で右舌下神経管周辺に異常血管信号を認め,arterial spin labeling(ASL)で右下錐体静脈(inferior petrosal sinus: IPS)から上眼静脈(superior ophthalmic vein: SOV)にかけて高信号を呈していた.脳血管撮影では対側総頚動脈撮影にて右 ACC 硬膜動静脈瘻が明瞭に描出され,同病変に対して経静脈的塞栓術を行い,硬膜動静脈瘻の消失,症状の改善を得た.【結論】ACC 硬膜動静脈瘻の複雑な静脈解剖の把握に対側総頚動脈撮影が非常に有用であり,良好な治療結果へと結びついた.