抄録
我が国では、持続可能な社会保障制度の確立を目指し、医療制度改革が進められている。これにより、病院の機能分化や診療報酬における入院期間目安の設定などから、早期の在宅復帰が求められている。特に急性期病院では、要介護高齢者の在宅生活支援において、病院での治療から在宅療養への円滑な移行を支援し、病院と在宅ケアチームの双方向的な支援体制を構築するための退院時カンファレンスが重要な役割を果たす。そこで、本研究は、急性期病院における退院時カンファレンスにおける医療ソーシャルワーカー(MSW)の役割を明らかにすることを目的とした。対象は三次救急を担う急性期病院で退院時カンファレンスに参加経験のあるMSW 5名であり、半構造化面接によりデータを収集した。分析の結果、MSWの役割は大きく三点に整理された。第一に、入院中の経過や生活背景を基にした在宅生活の見立てと患者情報の共有を通じて、病院と在宅ケアチーム間の情報ギャップを縮小する役割である。第二に、退院時カンファレンスの場において、医学的課題を生活課題に転換し、患者・家族が発言しやすい環境を整えるファシリテーターとしての役割である。第三に、退院後のフォローアップと継続的支援を行い、患者・家族および在宅ケアチームを支えるとともに、院内へのフィードバックを通じて医療と介護の連携強化に貢献する役割である。これらの結果から、急性期病院におけるMSWは、退院時カンファレンスにおいて病院から在宅への移行を円滑にし、高齢者の安心・安全な在宅療養を支えるうえで重要な役割を果たす不可欠な存在であることが示唆された。