抄録
水素のもつエネルギーを、地球上で電気自動車の駆動に活用しようとする考え方が、燃料電池車を生んだ。最近、トヨタ自動車が驚異的な低価格で、燃料電池車「ミライ」を市場に投入することになった。その普及が待たれるところであるが、本稿では、新しい時代に入った燃料電池車市販の段階で、水素とはどういう元素であるか、そして今後の燃料電池車使用に際し、どのように水素と付き合っていったらよいのかについて、筆者の経験を紹介することによって述べる。後半では、過去の電気自動車や燃料電池車の普及における課題について述べ、燃料電池車の将来展望とするとともに、燃料電池車ビジネスを産業発展のケーススタディーとして考察する。