2015 年 4 巻 1 号 p. 21-26
繊維強化複合材料を用いた射出成形品は、成形品中の繊維の長さが、成形品物性に大きく影響することが知られている。そこで本研究では、射出成形用の炭素長繊維強化ポリプロピレンを用いて、材料の溶融粘度や成形機の混練スクリューの圧縮比及び背圧が、成形品中の残存繊維長に及ぼす影響について明らかにした。供試材料として、4つの溶融粘度の異なるポリプロピレンを用いて炭素繊維を30 wt%含む長さ7 mmの炭素長繊維強化ポリプロピレンペレットを調製し、圧縮比の異なる混練スクリューにて背圧を変えて射出成形を行い、成形品中の残存繊維長、及び引張特性と衝撃強度を評価した。その結果、高溶融粘度の材料と圧縮比1.8の低せん断スクリューを用いて、低い背圧で成形することで、成形品中に1 mm以上の炭素繊維を残すことが可能であり、それに伴いより高い物性を発現させることが可能であることを見出した。