科学・技術研究
Online ISSN : 2187-1590
Print ISSN : 2186-4942
ISSN-L : 2187-1590
原著
亜臨界水抽出による緑茶の高品質化
宮下 知也横田 正木戸 康嗣岡村 拓哉飯島 陽子鈴木 英之柴田 大輔衛藤 英男
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 4 巻 1 号 p. 95-100

詳細
抄録

我々は緑茶を亜臨界水抽出130℃で処理することで高濃度カテキン含有でありながら苦渋味を抑制した緑茶飲料になることを報告した。本報ではこの緑茶抽出物の有用成分や香気成分および水色について検証を行った。その結果、従来の熱水抽出よりも有用成分(アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、ケルセチン、サポニン、水溶性食物繊維)が高濃度で抽出され、機能性を有する緑茶飲料であることが分かった。また、テアニンから生成される(S)-3-アミノ-1-エチルグルタルイミド(環状テアニン)はACE阻害活性があり、緑茶の中でも玉露や碾茶に多いことも明らかにした。さらに、緑茶特有の香気成分および水色に関連するクロロフィルの増加も確認した。従って、亜臨界水抽出は従来よりも優れた香気と水色を示し、苦渋味抑制だけでなく新たな機能性を有する緑茶飲料の製造方法としての可能性を示唆した。

著者関連情報
© 2015 科学・技術研究会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top