地球温暖化等の気候変動の情報および予測において、海表面温度(Sea Surface Temperature: SST)を全球規模で把握することは重要な要素の1つである。そこで全球規模でSSTを観測している人工衛星データおよび再解析データが有用となる。しかし人工衛星によるSST観測では高空間解像度で局所的には有用であるが、全球規模になると時間解像度が1日平均毎と粗く昼夜の変化を見ることは困難である。また再解析データは時間解像度が良いため、全球規模での予測などに用いるには有用である。しかし再解析によるSSTデータはモデル毎に提供されており、各モデルによる推定値依存が大きいため、常に精度検証および評価が必要である。そこで本研究では、主に良く用いられているNCEP-R1、NCEP-R2、ECMWF、JRA-25の4種の再解析データの精度についてブイデータと比較し検証を行った。精度比較に用いたブイデータは、TAO(Tropical Ocean Atmosphere)/TRITON(Triangle Trans-Ocean Buoy Network)ブイ(12点)、PIRATA(Pilot Research Moored Array in the Tropical Atlantic:熱帯大西洋係留アレー試験研究)ブイ(9点)、RAMA(Research Moored Array for African-Australian Monsoon Analysis and Prediction)ブイ(2点)、NDBC(National Data Buoy Center)ブイ(7点)である。使用データ期間は2001年の一年間とした。全球規模におけるNCEP-R1、NCEP-R2、ECMWF、JRA-25のRMS差を算出した結果、それぞれ0.657 ℃、0.665 ℃、0.712 ℃、0.569 ℃となり全て公証測定精度0.3 ℃を超えた。海域毎のRMS差においても全ての再解析データはどの海域でも精度が悪いことが示された。