抄録
レーザー加工は新たな封止技術として注目されている。この技術は従来の封止方法である熱封止と比較し、材料への熱負荷の低減が可能であり、さらに封止時間の短縮が可能である。しかし、過度なエネルギー照射は被封着材である基板ガラスにクラックが生じるため、レーザー封止の操作条件の決定が必要である。本研究で使用したV2O5-ZnO-BaO-TeO2系ガラス(V-Te系ガラス)は黒色で低融性を有しているガラスであるため、レーザーの吸収性に豊み、レーザー照射の出力を抑えることが可能であり、クラックの発生が抑制できる。本報では既往の研究で開発された41.9 wt% V2O5 7.0 wt% ZnO 30.1 wt% TeO2 21.0 wt% BaO(V-8-Te30)ガラスに低熱膨張性セラミックフィラーであるリン酸タングステン酸ジルコニウム(ZWP)を15 wt%添加し、レーザー封止に最も適したガラス封止材として使用した。V-8-Te30ガラスに15 wt%ZWPを添加したガラスを用いて、ソーダライムガラスをレーザー照射速度0.25 mm/s、出力4.83 Wで気密封止を行ったところ、低出力で封止できることを実証した。