抄録
籾殻は日本の農業系廃棄物のひとつであり、再利用の観点から新規的な活用法が求められている。本研究グループは、籾殻由来の天然多孔質構造を活かした多孔質炭素材料(Rice Hull Silica Carbon: RHSC)を開発した。RHSCの製造工程は籾殻にフェーノール樹脂を混合・含浸させ、加圧成型、乾燥処理の後に高温焼成することで得られる。籾殻は天然の多孔質構造を有しているため、焼成後のRHSCは多孔質炭素材料として製造される。RHSCは低摩擦係数や耐水性などのコア・コンピタンスを確立しており、直動リニアガイドやすべり軸受への応用が期待される。その一方で、RHSCは製造過程で発生する空隙が内部に含まれており、一般に使用される摺動部材に比べて強度の信頼性が低いことが課題とされている。本研究では疲労試験を行い、疲労強度の計測と寸法の大小によって生じる寸法効果ついて評価を行った。実験結果より、強度はかさ密度に依存する傾向が確認された。また、低サイクル数で破断した試験片の特徴を確認するため,走査型電子顕微鏡を用いて破断面を観察した。試験片の破断面には空隙が確認され、RHSCの疲労強度は材料内部に存在する空隙に影響することが明らかとなった。そのため、RHSCの信頼性は空隙制御により、かさ密度を安定させることで得られると示唆される。