抄録
加齢にともなう嚥下機能および咀嚼機能の低下により、嚥下障害が引き起こされる。この予防法のひとつとして液状食品へ増粘剤を付与することが挙げられる。しかし、現状の医療や介護現場では管理栄養士の主観と経験に基づいた定性的なプロセスとなっている。加えて、市販の増粘剤は製品によって物性が異なるといわれている。これらのように、適切な介護食の提供を行うためには粘性の定量化や経時的変化の把握が不可欠でありつつも、現状ではその基準や指標は提唱されていない。こういった課題を改善することは嚥下困難者の生活の質の向上のために極めて重要な課題である。本研究では、増粘剤を添加した飲料水の時間依存特性および温度依存特性により、粘稠液状食品の物性を評価した。その結果、増粘剤を添加した水の有する粘性は、温度に依存する傾向があった。水と茶は強い正の相関を示したため、類似した時間依存特性を有する。短時間放置した試料と長時間放置した試料の間において、対応のあるt検定により有意差が認められた。これらを踏まえ、増粘剤の物性表を作成した。これを応用することで市販の増粘剤に対する共通認識を図ることが可能となり、作り手に依存しない粘性抵抗の付与が期待される。