抄録
福祉国家の弱体化とリスク社会化が同時に進む社会では、国家によるリスク管理に依拠した「公助によるリスク管理」と、個人によるリスク管理に依拠した「自助によるリスク管理」がそれぞれ限界を迎えている。リスク管理の機能不全により、第一に、リスクが不平等に再分配されるという問題が、第二に、人々の関心が内部志向的になるという問題が、第三に、リスクに対する不安が増大するという問題が生じている。
リスク社会に発生している「不安を紐帯とした連帯」は、共助によるリスク管理の過程で形成されたネットワークである。不安を紐帯とした連帯は、互酬に基づいている点でリスクの不平等を是正する力を秘めている。また、この連帯は他者とのコミュニケーションに開かれた「橋渡し型」の側面を持つため、異質な他者に対する関心を抱く契機ともなる。そして、橋渡し型のコミュニケーションにより、「一般化された他者」が拡大し、「ソーシャル・キャピタル」が醸成されるならば、不安を紐帯とした連帯は、不安の克服を促す作用があるといえよう。公助の弱体化と自助の前景化が進む社会では、共助を中心とした公助、自助、共助の相互補完的なリスク管理が求められている。