西日本社会学会年報
Online ISSN : 2434-4400
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論文
地域共有物を生み出す社会システムとしてのコミュニティ
三隅 一人
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2023 年 21 巻 p. 65-76

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抄録

 本稿は、とりわけ長期に及ぶ災害や復興に際して、その対応主体となることが期待されながら現実的な難しさをもつ都市化社会の地域コミュニティに着目し、その現状を分析的に捉える独自の観点を提示する。まず、有限責任コミュニティの概念にもとづき、以下のようにコミュニティ概念枠組みを再考する。地域生活に不可欠な公共財およびコモンプール財を地域共有物とする。地域コミュニティは、地域共有物の供給のための人びとの相互行為の営みがつくる社会システムである。コミュニティには様々な地域共有物があり、住民はそれらの管理に自らの関心に応じて限定的に関与する。すなわち、皆がそれぞれどれかの地域共有物についてフリーライダーとなる。本稿では、こうしたフリーライダーの温存が社会関係資本のストックとフロウの循環を促す積極的な意義をもつこと、その際、便益と負担の公平性を満たす全体の互恵性が論点となること等を論じ、このコミュニティ概念枠組みの意義を示す。

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© 2023 西日本社会学会
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