聖マリアンナ医科大学雑誌
Online ISSN : 2189-0285
Print ISSN : 0387-2289
ISSN-L : 0387-2289
症例報告
特徴的な症状を欠き診断に苦慮した肥厚性硬膜炎の1例
村尾 毬那鈴木 祐奥瀬 千晃櫻井 謙三内野 賢治森 華奈子堀内 正浩廣瀬 雅宣山徳 雅人長谷川 泰弘
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 46 巻 2 号 p. 69-76

詳細
抄録

我々は特徴的な症状を欠き診断に苦慮した肥厚性硬膜炎の1例を経験したので報告する。症例は32歳,女性。2007年に深在性エリテマトーデスと診断された。2013年8月の前医紹介時はプレドニゾロン20.0 mg/日を服用しており,2016年7月にシクロスポリン100 mg/日が追加された。同年10月下旬から連日出現する頭痛を自覚していた。同年11月上旬に経過が良好のためプレドニゾロンが17.5 mg/日へ減量された。約2週間後より頭痛に加え37ºC台の発熱,嘔気・嘔吐が出現し,精査されるも器質的疾患は認めなかった。また,シクロスポリン中止による改善もなかった。緊張型頭痛の診断にてアルプラゾラムとロキソプロフェンナトリウム頓用が開始となったが症状改善に乏しいため当院紹介となった。初診時,連日出現し持続する中等度の頭痛を有するも,随伴する神経学的異常所見は認めなかった。血液検査では炎症反応の上昇と抗好中球細胞質抗体(MPO-ANCA)が陽性であり,頭部造影MRIでは,右側頭部,両側円蓋部,両側小脳テントに硬膜肥厚が認められ,MPO-ANCA陽性肥厚性硬膜炎と診断された。ステロイド療法にて症状は速やかに軽快し,アザチオプリン併用にて再燃なく経過している。頭痛以外に神経学的異常所見は認めず,肥厚性硬膜炎の特徴的な主要症状を欠き診断に苦慮したが,難治性の頭痛の鑑別疾患として肥厚性硬膜炎を考慮し施行した頭部造影MRIが有用であった症例と考えられた。

著者関連情報
© 2018 聖マリアンナ医科大学医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top