聖マリアンナ医科大学雑誌
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原著
皮質性小脳萎縮症における罹病期間による嚥下機能の変化
山徳 雅人杤本 しのぶ西山 真衣眞木 二葉長谷川 泰弘
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2019 年 47 巻 2 号 p. 65-71

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抄録

目的】皮質性小脳萎縮症(以下CCA)における嚥下機能の罹病期間による違いについて検討した。
材料および方法】2008年6月〜2013年3月までに当院にて嚥下造影検査(以下VF)を施行したCCA 45例を罹病期間,International Cooperative Ataxia Rating Scale(以下ICARS)の合計点,検査時の食形態,誤嚥性肺炎既往の有無を診療記録より後方視的に調査し,VFまでの平均罹病期間が約10年であったことから,症状出現からVF施行までが10年以下(早期群)と10年以上(後期群)に分類した。またVF所見(水分10 mlと米飯)にて,誤嚥・喉頭侵入の有無,口腔通過時間(OTT),咽頭通過時間(PTT),咽頭遅延時間(PDT),米飯の口腔・喉頭蓋谷・梨状窩残留を調べた。統計はStudent t検定,Mann-WhitneyのU検定,Fisherの正確確率検定を用いた。
結果】早期群:25例(罹病期間7.2年,常食25例),後期群:20例(罹病期間15.3年,常食16例・全粥食4例)で,全例誤嚥性肺炎の既往はなかった。VF所見における各位相の時間は,米飯にて後期群で全て延長していた。食塊残留割合は,後期群で喉頭蓋谷,梨状窩の残留が有意に多かった。
考察】CCAにおいては,発症10年以上経過しても常食を継続されている症例が多いが,位相時間が延長し咽頭残留を有意に認めた。このことから食形態の質は維持しながらも嚥下機能低下への留意は必要と思われた。

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© 2019 聖マリアンナ医科大学医学会
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