目的:当院での上部消化管穿孔手術で,腹腔鏡下手術と開腹手術を比較し,問題点について検討した。
対象及び方法:過去,当院で施行した上部消化管穿孔手術は44例で,腹腔鏡下手術(Lap群)38例,開腹手術(Open群)6例を対象とし,検討項目は患者背景因子,周術期因子を検討した。
結果:Open群で,平均年齢が76.8 (42–91) 歳と有意に高く (P=0.001),大開腹既往が4例と有意に多かった (P=0.0005)。手術時間,出血量,術後在院日数,合併症に有意差は認めなかった。平均洗浄量は,Lap群が5,060 (2,000–20,000) mlと有意に少なかった (P<0.001)。また技術認定医の手術参加はLap群38例と有意に多かった (P=0.001) が,Open群では,高齢ではなく手術既往がないにもかかわらず技術認定医が不在のため,開腹術を選択した症例を認めた。
結論:手術方法の選択では,高齢者で大開腹既往がある場合は開腹手術を選択することが多かったが,今後,全身状態に問題がない症例については,積極的に腹腔鏡下手術を考慮にいれる必要があると考える。
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