聖マリアンナ医科大学雑誌
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原著
小児重症ループス腎炎の腎機能長期予後とその関連因子
—10年間にわたる後ろ向きコホート研究—
小林 久志吉村 博喜瀬 智郎譜久山 滋上原 正嗣村田 俊輔生駒 雅昭清水 直樹
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2020 年 48 巻 3 号 p. 67-82

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抄録

小児期(16歳未満)発症の「活動性病変:びまん性全節性ループス腎炎」の10年間に及ぶ腎機能予後と関連因子の報告は稀有である。1991年1月から2005年12月までに発症した本症を,2016年12月まで各々10年間直接観察し得た34例を対象として,腎機能推移と長期予後関連因子につき後方視的に検討した。糸球体濾過率 (estimated glomerular filtration rate [eGFR]) の発症10年での平均値は51.1 ml/分/1.73 m2であった。発症10年の腎機能低下群 (eGFR<60 ml/分/1.73 m2, 16例) は腎機能良好群 (eGFR≥60 ml/分/1.73 m2, 18例) と比べ,本症診断後5年以降のeGFRの低下が顕著であった。本症診断後5年までのeGFRの低下には,治療抵抗群の存在と,2年の免疫抑制薬維持療法終了後の高度蛋白尿再燃が関与していた。診断後5年以降のeGFRの低下には,思春期・青年期への特有な影響を背景とした急性腎障害を伴う疾患活動性再燃が影響していた。発症時からの持続的な多数の尿細管上皮細胞円柱の存在が,発症10年の腎機能予後に関与していた。尿細管上皮細胞円柱は,発症早期からの予後予測因子として利用できる可能性がある。本症の長期予後改善には,上記関連因子への強力な介入が必要である。

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© 2020 聖マリアンナ医科大学医学会
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