聖マリアンナ医科大学雑誌
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雑報
新型コロナウイルス感染症中等症・疑似症患者の対応を担った一般病棟の看護実践報告
塚本 孝枝
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2024 年 51 巻 Suppl 号 p. S111-S114

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抄録

2020年1月に国から2回目の緊急事態宣言が発令され,当院でも病床数がひっ迫し,急激に増加する陽性患者と疑似症患者の受け入れ病床の拡大が必要となった。同時期に入院患者から陽性者が発生したために,入院患者数が減少したA病棟が陽性患者22床,疑似症6床の専用病棟(以降「コロナ病棟」と略す)へ機能変更が決定した。準備期間は3日,看護職員は25セクションから35名の看護師が集結した。初対面の看護師・別館の病棟に初めて入った看護師・経験年数・看護実践能力も分からない看護師の集団であったため,病棟内の物品整理や掲示物準備など協働作業を通し,同じ病棟で働く看護師だという認識を持つことを意図的に行った。

【開棟後の実際】コロナ病棟開棟直後2週間の患者の動向だが,陽性患者の平均在院日数5.6日,疑似症は2.1日だった。疑似症入院はコロナ病棟の滞在日数が2.1日と短期間であったため,勤務時は毎回,初回対面の患者がほとんどで,患者背景や治療スケジュールの情報収集に時間を要し,インシデント発生とならないよう申し送りにも配慮を必要とした。陽性患者では病棟機能や構造が異なるために病棟毎に運用していた独自のルールが原因でインシデントが発生した。呼吸不全の終末期患者の看取りの経験を通し,呼吸ケアの学びや家族看護を経験でき,複数の看護師から成長の機会を得たとの言動もあった。

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