聖マリアンナ医科大学雑誌
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総説
聖マリアンナ医科大学病院の感染症後外来(後遺症)からみたlong COVID headacheの臨床的特徴
秋山 久尚
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2024 年 51 巻 Suppl 号 p. S197-S207

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抄録

2019年12月に中国武漢で発生した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症は急速に世界中に拡大し,2020年3月には世界保健機関がパンデミックを宣言,coronavirus disease 19(COVID-19)と命名された。当初,このCOVID-19感染症の重症例では肺炎から急性呼吸窮迫症候群,呼吸不全となり死に至ることで注目された。一方,死までには至らない重篤例,非重篤例でも発熱,咳嗽,咽頭痛等耐え難い症状が出現し,これらの症状改善後も長期間にわたり疲労感・倦怠感,息苦しさ,味覚・嗅覚障害等の後遺症が認められることがありlong COVIDと呼ばれている。この症状のひとつに頭痛がありlong COVID headacheと呼ばれ,流行から約3年経った今でも当院脳神経内科の感染症後外来(後遺症)へ長期間にわたり通院している頭痛患者がいる。この頭痛の発症病態生理は未だに明確に解明はされておらず,診断基準や治療方針も確立されていないが,近年,発症機序として三叉神経血管系の活性化が関与する可能性が報告され,臨床的特徴,治療の推奨に関する報告も散見されてきている。本稿では,このlong COVID headacheの臨床的特徴,発症機序,診断,治療の推奨について既報をまとめ,当院脳神経内科へ長期間通院中のlong COVID headache症例の臨床的特徴を紹介する。

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© 2024 聖マリアンナ医科大学医学会
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