抄録
石灰沈着性頸長筋炎は, 症状や画像上の特徴から咽後膿瘍や化膿性脊椎炎との鑑別が問題となる疾患である. 今回, 我々は石灰沈着性頸長筋炎を2例経験した. 本疾患の画像上の特徴としては, 環軸椎前方の石灰化病変であり, CTが有用とされる. しかし頸長筋の炎症所見はCTでは捉えることはできない. 本疾患の診断において, 頸長筋の変化も確認することが重要であると思われる. 今回, 我々が経験した2例において, MRIにて頸長筋の炎症性変化を確認できた. MRIは他の疾患との鑑別だけでなく, 頸長筋の炎症を確認する上で有用であると思われた. また1例においては, 経過観察中に, CTにて石灰化病変の消失も確認できた.