口腔・咽頭科
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総 説
深頸部膿瘍: 小児における留意点
有本 友季子
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2013 年 26 巻 1 号 p. 7-11

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抄録

小児深頸部膿瘍は非常に稀で, 臨床像も成人例と大きく異なる. 好発部位は, 咽頭後間隙, 口腔粘膜間隙, 副咽頭間隙が主で, 他に顎下間隙も多くみられた. 小児特有の発症背景に, 先天性嚢胞性疾患や先天性免疫不全症の感染, 歯ブラシ外傷, 特殊感染症である猫ひっかき病がみられた. 重篤な合併症はほとんどみられなかった. これは成人例との病態の違いによるもので, 深頸部膿瘍と診断される小児例の多くは深頸部リンパ節膿瘍の段階にあり, いわゆる成人例の真の意味での深頸部膿瘍とは異なると考えられた. 気道狭窄等リスクが高い症例では切開排膿が必要となることが多いが, 病態や合併症の少なさを考慮し, より低侵襲な治療法選択の可能性が示唆された.

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© 2013 日本口腔・咽頭科学会
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