2014 年 27 巻 1 号 p. 73-79
扁桃周囲膿瘍の排膿処置として, わが国では穿刺吸引または切開排膿が一般的であるが, 当科では十分な排膿と再発防止を目的として, 即時膿瘍扁桃摘出術 (膿瘍扁摘) を積極的に行っている. 本術式の適応については様々な意見があるが, 扁桃周囲間隙外へ膿瘍が進展した重症例に対して特に有用性が高いと考えられる. そこで, その有用性を明確にすることを目的とし, 当科で膿瘍扁摘を行った症例の中で扁桃周囲間隙外にまで膿瘍が進展していた12例について, 病態ならびに術後経過について検討した. その結果, 傍咽頭間隙 (茎突前隙) あるいは咽頭後間隙に膿瘍が進展した場合でも, 舌骨上に止まっていれば膿瘍扁摘により十分な排膿が可能と考えられた.