2015 年 28 巻 1 号 p. 65-69
魚骨異物は日常臨床でしばしば遭遇し, 診断・治療が容易な場合が多いが, 稀に困難な症例も存在する. 我々は, 3例の非典型的な魚骨異物症例を経験したので, 当院での頸部魚骨異物症例の検討を加えて報告する. 症例1は70歳の女性で, 舌筋層内に魚骨迷入し, 発症から受診まで半年を要し, 放線菌感染を伴う膿瘍形成を生じた. 症例2は68歳の女性で, 発症時近医喉頭ファイバースコープ検査で発見できず, 5日後右頸部膿瘍を生じ, 甲状腺右葉背側に迷入した魚骨を外切開により摘出した. 症例3は59歳の男性で, 舌扁桃内に埋没していたが, 経口腔的に摘出できた. 当院で4年半の間に60例頸部魚骨異物摘出術を施行し, CT 検査が有用であった.