2016 年 29 巻 2 号 p. 157-162
移植腎に再発した IgA 腎症に対する扁摘・ステロイドパルス療法の有効性が, 近年注目され報告されてきており, 概ね良好な治療成績を示している. 移植腎に発症した IgA 腎症例のうち, 高知医療センター耳鼻咽喉科で扁摘・ステロイドパルス療法を施行し長期観察した6例を経験したが, 全例 IgA 腎症は抑制できていた. 移植腎に IgA 腎症が再発することは, 腎臓以外にも IgA 腎症の原因が存在することが示唆され. 扁摘・ステロイドパルス療法が IgA 腎症に対し有効な治療法であることを考えると, IgA 腎症発症の重要な要因として口蓋扁桃があると考える. 移植腎に再発した IgA 腎症に対し, なるべく早期に扁摘・ステロイドパルス療法を考慮すべきである.