2016 年 29 巻 2 号 p. 219-224
咽後膿瘍と川崎病はともに乳幼児に好発する急性熱性疾患であり, 両者の鑑別に苦慮した症例が報告されている. 今回我々は類似する症状・所見で発症した咽後膿瘍症例と川崎病症例を経験した. 咽後膿瘍症例は3歳男児. 造影 CT で一部 ring enhance される低吸収域を咽後部に認め, 抗生物質の投与と切開排膿術を行い軽快した. 川崎病症例は5歳男児. 造影 CT で咽後部に ring enhance されない低吸収域と腫脹を認めたが, その後の経過で不全型川崎病と診断され, γ グロブリンとアスピリンで治療を行い軽快した. 病初期における両者の鑑別には造影 CT が有用であると考えられた.