2017 年 30 巻 1 号 p. 103-109
今回我々は耳下腺腫脹を繰り返す患者において唾液腺造影を行ったところ特徴的な所見がみられた一例を経験した. 症例は 60 歳女性, 反復する右耳下部の腫脹を主訴に当科紹介となった. 両側ステノン管よりゼリー状粘稠唾液が排出され, MRI では両側耳下腺に分節状の導管拡張が確認された. 耳下腺造影を施行したところ, 右耳下腺導管はブドウの房状に, 左耳下腺導管は分節状に拡張している像が確認された. 文献を渉猟しうる限り, 本症例右耳下腺のような特徴的な唾液腺造影像を来した報告はなかった. 右耳下腺については唾液管末端拡張症が予想されたが, 臨床所見から線維素性唾液管炎の可能性が考えられた. 病態については更なる検討が必要である.