口腔・咽頭科
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症例
味覚障害が初発症状となった肥厚性硬膜炎の一例
中村 匡孝任 智美西井 智子前田 英美阪上 雅史
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2019 年 32 巻 1 号 p. 67-71

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抄録

症例は65歳,男性.味覚異常を主訴に当科受診,味覚機能検査において左側に優位な味覚機能低下を認めた.左顔面の知覚低下,舌のしびれを認め,頭痛の増悪もあったため頭部造影MRIが施行された結果,肥厚性硬膜炎と診断された.ステロイドパルス療法を施行され,開始後数日で味覚異常は消失し,味覚検査も正常範囲となった.画像所見や症状,味覚検査より本症例では左側の鼓索神経と舌咽神経の障害と判断された.一側性味覚閾値上昇,かつ複数の脳神経症状が認められる場合は中枢性疾患を積極的に疑う必要があり,本症例では頭部造影MRIが有用であった.

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© 2019 日本口腔・咽頭科学会
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