2020 年 33 巻 1 号 p. 31-38
咽喉頭酸逆流症(laryngopharyngeal reflux disease:LPRD)の発症・増悪機序として粘膜防御機構の一つである唾液分泌に着目し,胃酸逆流症(Gastroesophageal reflux disease:GERD)モデルラットに対して顎下腺全摘を行った唾液分泌障害GERDモデルラットを作製し,咽喉頭および食道粘膜の病理組織学的変化を観察した.その結果,唾液分泌障害GERDモデルでは対照の唾液腺手術を施行していないGERDモデルよりも早期からLPRD発症を示唆する咽喉頭粘膜炎症を認め,また食道粘膜にもより強い炎症性変化を認めた.結論として唾液分泌障害がLPRDおよびGERDの発症・増悪機序にも関与することが示された.