口腔・咽頭科
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原著
中咽頭癌におけるPD-L1発現とリンパ球浸潤の検討
久場 潔実菅澤 正
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2020 年 33 巻 2 号 p. 71-76

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抄録

2007年から2016年に当科で根治治療を行った中咽頭癌症例におけるPD-L1の発現率,CD8陽性腫瘍浸潤リンパ球(Tumor infiltrating Lymphocyte;TIL)の発現率,p16免疫染色との関連を検討した.症例は110例で年齢中央値は66歳,観察期間の中央値は35ヵ月であった.PD-L1陽性はp16陽性例では46%,p16陰性例では42%であり,両者の発現率に有意差は認められなかった(p=0.70).p16の結果に関わらずPD-L1発現1%以上と1%未満で生存率に差は認めなかった(p=0.97).CD8陽性TIL高発現はp16陽性例では57%,p16陰性例では52%であり,両者の発現に有意差は認められなかった(p=0.70).CD8陽性TIL高発現と低発現の予後には有意差を認めた(p=0.02).PD-L1発現率とCD8発現強度には明らかな関連性は認められなかった(p=0.25).抗PD-1抗体薬の効果が期待されるPD-L1発現1%以上かつCD8高発現例の頻度は27%で3割ほど存在すると考えられた.

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© 2020 日本口腔・咽頭科学会
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