口腔・咽頭科
Online ISSN : 1884-4316
Print ISSN : 0917-5105
ISSN-L : 0917-5105
原著
下咽頭梨状陥凹瘻の4例
天野 真太郎那須 隆
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 34 巻 1 号 p. 35-38

詳細
抄録

当科で手術治療を施行した下咽頭梨状陥凹瘻の4例について,治療経過を振り返りながら瘻管摘出術の適切な時期を検討した.また化学焼灼術の適応や手技について文献的に考察した.
自験例では,化膿性甲状腺炎は複数回の再発を繰り返しており,治療に関わる在院期間も長くなっている.炎症後に治癒した症例もないことから,瘻管摘出術は化膿性甲状腺炎の初回発症後,再発を繰り返す前に施行したほうが患者にとって有益であると考えられた.当科では,化学焼灼術の根治性に関して技術的な未解決要素もあることから,現時点では第一選択の手技とは考えていないが,侵襲性,整容性の点で有用性も高いことから確実な治療効果を得るための技術的な改善に努力したい.

著者関連情報
© 2021 日本口腔・咽頭科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top