2022 年 35 巻 2 号 p. 123-128
頭頸部癌では一次治療開始時に進行している割合が高く,全体の60%以上がstage Ⅲ以上と報告されている.一次治療終了後に再発を来す症例も見受けられ,進行例のおおよそ40%~65%と考えられており,未だ予後不良な癌腫である.
癌治療においては,最適な一次治療を施すことによって全体の治療成績向上,予後改善を図ることが重要である.一方で,再発例や初回治療時に根治切除不能あるいは遠隔転移を有する症例に対する治療選択肢は限られていたことから,再発・転移症例に対する治療法について議論されることはあまりなかった.しかしながら,近年,再発・転移頭頸部癌に対する治療の進歩は目覚ましく,これまでは考えられなかった長期生存例も見受けられるようになっている.本稿では,当科で行っている再発・転移頭頸部癌の実臨床データも含めて,その特徴や治療法について解説する.