口腔・咽頭科
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35 巻, 2 号
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追悼文
総説
パネルディスカッション1 上咽頭擦過療法
特別講演2
  • 今村 知明
    2022 年 35 巻 2 号 p. 109-113
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/20
    ジャーナル フリー
    我が国の高齢化は急速に進んでいる.現状の急性期中心の医療体制のままだと,医療・介護ニーズを受け止めきれない.これからの医療の主体は,急性期医療から在宅での医療や看取りまでを含めた地域で支える医療へシフトしていく必要がある.しかし2020年に発生したコロナ禍によって事態は複雑化した.今までの医療計画に「感染症」が追加され,平時からの対策を求められている.
    また,地域医療構想に加え,医師の働き方改革と偏在問題について三位一体で改革を進めようという動きが活性化している.これらを同時に達成することは非常に難しい.
    今後も医療界は様々な課題に直面する.医療施策の動向を注視し,対応していくことが必要である.
シンポジウム1 耳下腺手術の推進
  • 東野 正明
    2022 年 35 巻 2 号 p. 114-117
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/20
    ジャーナル フリー
    耳下腺手術を推進していくには,その安全性の担保が不可欠である.耳下腺内の顔面神経の走行はさまざまであり,術中に顔面神経を温存しえたとしても,術後に顔面神経麻痺を生じる事がある.術中神経モニタリング(IONM)を使用する事で,安全に顔面神経を同定することができ,術後顔面神経麻痺のリスクを下げ,手術時間を短縮できる.しかし,IONMは,麻酔導入時の筋弛緩薬の影響を受けやすく,その影響は個人差があるという欠点がある.筋弛緩薬の影響を確認するために筋弛緩モニターが有用である.十分な解剖学的知識をもって手術に臨むとともに,筋弛緩薬の影響を考慮しながらIONMを用いることが,安全確実な耳下腺手術をおこなう上で必要となる.
  • 鈴木 健介, 八木 正夫, 藤澤 琢郎, 阪上 智史, 清水 皆貴, 岩井 大
    2022 年 35 巻 2 号 p. 118-122
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/20
    ジャーナル フリー
    下顎縁枝法は耳下腺腫瘍に対する一術式であり,顔面神経下顎縁枝を同定・温存し,腫瘍を摘出する方法である.下顎縁枝法は審美面において優れ,手術時間が短い,出血量が少ない,下顎縁枝領域以外に顔面神経麻痺が発生しない等,多くの利点がある.我々は下顎縁枝法の適応を判断する一つの基準として,耳下腺下極に存在する良性腫瘍のうち腫瘍の上端が乳様突起先端よりも下方にあるものは良い適応と考えている.本法を施行する上で下顎縁枝の同定・温存が必須であり,下顎角とその周辺での顔面神経分枝の走行と処理法を熟知することが重要である.適切な症例選択と手術手技により下顎縁枝法を一層有効に活かすことができる.
シンポジウム2 口腔・咽頭・唾液腺癌の治療最前線
  • 安松 隆治
    2022 年 35 巻 2 号 p. 123-128
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/20
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌では一次治療開始時に進行している割合が高く,全体の60%以上がstage Ⅲ以上と報告されている.一次治療終了後に再発を来す症例も見受けられ,進行例のおおよそ40%~65%と考えられており,未だ予後不良な癌腫である.
    癌治療においては,最適な一次治療を施すことによって全体の治療成績向上,予後改善を図ることが重要である.一方で,再発例や初回治療時に根治切除不能あるいは遠隔転移を有する症例に対する治療選択肢は限られていたことから,再発・転移症例に対する治療法について議論されることはあまりなかった.しかしながら,近年,再発・転移頭頸部癌に対する治療の進歩は目覚ましく,これまでは考えられなかった長期生存例も見受けられるようになっている.本稿では,当科で行っている再発・転移頭頸部癌の実臨床データも含めて,その特徴や治療法について解説する.
教育セミナー1 歯科・口腔外科の展開―口腔ケアからいびき治療, 顎骨壊死手術まで
原著
  • 大野 芳裕
    2022 年 35 巻 2 号 p. 138-145
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/20
    ジャーナル フリー
    慢性上咽頭炎154例に対して上咽頭擦過療法(EAT)を施行し,自覚症状および内視鏡所見の評価を行った.現在上咽頭擦過療法検討委員会による前向き研究(前向研)が行われており,内視鏡所見では色調,腫脹,粘液付着・後鼻漏,擦過時の出血を3段階で評価する方法となった.以前の検討(2020研)では発赤(色調),腫脹を4段階で評価したため,これを前向研の評価法に当てはめて比較検討した.前向研では色調,腫脹の改善率は54.6%,48.6%であった.合計スコアの改善率は2020研94.2%,前向研93.5%で,出血を除いた合計スコアの改善率はそれぞれ81.8%,75.3%となった.いずれの検討でも発赤・出血・合計スコアの改善と主訴の改善との間に有意な相関を認めた.今回は2020研から症例数を増やして治療効果の再検討も行った.
症例
  • 元雄 良誠, 吉崎 智一
    2022 年 35 巻 2 号 p. 146-149
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/20
    ジャーナル フリー
    頸部食道異物の経口的な摘出方法として上部消化管内視鏡や食道直達鏡が選択されることが多いが,佐藤式彎曲型咽喉頭直達鏡を用いて摘出し得た食道異物の1例を経験したので報告する.症例は63歳女性で,たら汁を摂取した翌日に嚥下時痛を主訴に当科を受診した.喉頭内視鏡では異物を同定できなかったが,CTで食道入口部に異物を認めたため手術の方針とした.佐藤式彎曲型咽喉頭直達鏡で視野展開し,上部消化管内視鏡を併用して異物を安全に摘出し得た.下咽頭や食道入口部の広範な視野が確保できたこと,佐藤式彎曲型咽喉頭直達鏡の先端が喉頭であることから異物を押し込む危険性が少なかったことが摘出成功の理由として考えられた.
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