難治性口腔咽頭潰瘍は原因不明の稀な疾患である.著者らはこの病因を明らかにする目的で, 難治性口腔咽頭潰瘍7例, 比較対照としてBehcet病2例, Crohn病1例, T-celllymphoma 2例, 非特異的非難治性口腔咽頭潰瘍10例の臨床所見を再検討し, 光顕的, 免疫組織化学的に比較検討した.さらに治癒の遷延化の原因を探る目的で, 1) 血漿中ビタミンC値およびプロスタグランジンE2値に異常がみられないか, 2) 潰瘍組織内の抗酸化酵素の発現やコラーゲン線維の発達が正常か否かなどの点についても検討し, 類縁疾患との鑑別を行った.その結果, 難治性口腔咽頭潰瘍とBehcet病は他の潰瘍疾患とは一線を画し, 両者は一部オーバーラップする類縁のグループに分類されるべきであると考えられた.