口腔・咽頭科
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耳下腺多発性再発多形腺腫における顔面神経の取り扱い
高橋 光明北南 和彦
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1998 年 10 巻 2 号 p. 249-254

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抄録

再発多形腺腫の手術では顔面神経の障害と腫瘍の再・再発が最も重要な問題である.今回, 7例の多発性再発多形腺腫について顔面神経の問題を中心に検討した.7症例中4例は過去に2回以上の手術を受けていた.2例は当科受診時に顔面神経の全麻痺が見られた.治療は腫瘍の根治を目指して手術し, 全例術後の再発はない.顔面神経は保存が原則であるが, 全例に神経の癒着が観察され, 5例は神経を腫瘍とともに合併切除し, 原則的に神経の修復術を行った.術後は完全回復が2例, 軽度麻痺が2例であったが, 術前に全麻痺のあった2症例を含む3例に高度麻痺が残存した.顔面神経の取り扱いでは主幹および末梢枝のいずれからも同定できる技術と再建術への準備が必要である.また, 手術を計画する上で, 患者への十分なinformed consentが不可欠である.

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