口腔・咽頭科
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味覚障害の治療
愛場 庸雅
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2004 年 16 巻 2 号 p. 173-179

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抄録

味覚障害の原因別の治療法を概説し, その実際, 効果について述べた.血清亜鉛値70μg/dl未満の場合は亜鉛欠乏性味覚障害と診断されるが, 潜在性亜鉛欠乏も多く, 亜鉛製剤が有効である.硫酸亜鉛, ポラプレジンク, およびサプリメントによる治療がなされ, 有効率は70%前後である.投与期間は, 数ヶ月は必要である.薬剤性味覚障害の頻度は高いが, 起因薬剤の同定や証明が困難なことが多い.自発性異常味覚, 異味症, 味覚乖離など病態の不明な場合には, 漢方薬も有力な治療手段になりうる.亜鉛のみではなく, 各種のビタミン, ミネラルの補給も重要であり, 患者の生活全般の在り方を考えた食事, 栄養指導が必要である.

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© 日本口腔・咽頭科学会
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