口腔・咽頭科
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16 巻, 2 号
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  • 藤原 啓次, 林 正樹, 後藤 浩伸, 保冨 宗城, 田村 真司, 九鬼 清典, 山中 昇
    2004 年 16 巻 2 号 p. 151-154
    発行日: 2004/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    本邦では扁桃摘出術 (扁摘) の目安として, 明確なエビデンスが存在せず, 各医師により, その対応が異なるのが現状である.そこで, 扁桃摘出術の有効性について検討を行うとともに, 医療経済学的な面からも検討することにより, 扁桃摘出術のガイドライン策定の一序になればと考えた.
    対象は年に4回以上扁桃炎を繰り返す63名 (小児44名, 成人19名) について質問紙を用いて, 調査を行った.扁摘例は非扁摘例に比べて, 術前後の扁桃炎, 咽頭炎の回数, 受診回数, 学校欠席日数, 欠勤日数のいずれも有意差を持って減少していた.扁摘の医療経済学的効果をbreak-even time analysis法を用いて検討した.この方法はある事象を導入する際の支出をその導入により削減できる支出から計算して, どれくらいの期間で補うことができるかという計算法である.今回の検討では治療費と休業に伴う経済的損失を含めて算出した.小児の扁摘の総額は463,488.2円であった.手術により軽減した外来診療に伴う医療費と経済損失の合計は290,510.2円/年であった.したがってbreak-even timeは1.6年であった.同様に成人の場合の扁摘の総額は492,309.4円, 削減した外来診療に伴う支出の合計は197,613.3円/年であった.break-even timeは2.5年であった.
    扁摘の治療効果は高く, 医療経済学的にも高い効果を認めた.また, 我々は扁摘の新しい基準として扁桃炎インデックス (Tonsillitis Index: TI) を報告したが, この扁桃炎インデックスは医療経済学的にも有効性が認められた.
  • Peter J. Koltai
    2004 年 16 巻 2 号 p. 155-166
    発行日: 2004/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    Tonsillectomy remains the most common major operation performed on children in the United States. Improved understanding of the infectious indications for tonsillectomy has allowed for better patient selection for surgery. However, despite our increased knowledge, tonsillectomy remains a somewhat controversial procedure. In this chapter we will review the major infectious indications for tonsillectomy and provide recent data to help primary care physicians, as well as surgeons, identify those patients most likely to benefit from surgery.
  • Elmar Schmid
    2004 年 16 巻 2 号 p. 167-170
    発行日: 2004/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    The preferred indications for tonsillectomy are acute infections of the tonsils with repeated indication for antibiotics treatment within the last two or three years before surgery, or up to seven infections per year. Other indications are hyperplasia of the tonsils with mechanical obstruction, obstructive sleep apnea syndrome (O-SAS), occult tonsillitis or tonsil origin sepsis (phlegmonosis), tonsil origin infections (rheumatic fever, acute nephritis, pustulosis palmaris et plantaris), the suspicion of malignancy, mononucleosis, myofunctional distress of the orofacial region, suspicious bacteriology of the hyperplastic tonsils, repeated halitosis of elder children after exclusion of other causes. The main indications for tonsillectomy should prevent further distress of immune defense; indication must take clue that the tonsillectomy may prevent further infections of the upper airways and may have a positive effect on sinusitis and bronchitis. A prophylaxis for endocarditis is necessary for patients with defects of heart valve, prolaps of mitral valve and hypertrophic obstructive cardiomyopathy. Antibiotic prophylaxis should be done with amoxicillin or clindamycin. The most common surgical technique is the tonsillectomy by dissection with bipolar diathermy and ligation. Other surgical procedures are surgery by laser or ablation with radiofrequencies. Complications of tonsillectomy are pain (46%), fever (24%) and postoperative bleeding (up to 12%). Bleeding can be dangerous (about 1: 3000 up to 1: 27000 of fatal accidents after tonsillectomy). After surgery with ligation, there may be a small risk for vascular anomalies and perforation. Early bleedings appear within the first 48 hours after surgery, late bleedings after 10 to 14 days. Other rare complications are secondary infection of the tonsillectomy zone, aspiration, dysgeusia, palsies of the hypoglossal nerve, lingual nerve or recurrent laryngeal nerves, meningitis, pharyngeal abscess, Grisel Syndrome (infection of the atlanto-axial articulation), rhinophonia aperta, velopalatinal insufficience by sutures, dental complications, dysfunction of the myofacial articulation. Tonsillectomies in Germany are still done during hospitalization. Most of the 35, 000 operations per year is done by otolaryngologists working in their own offices and in the hospital at the same time. The contact between doctor and patient is very close and it's the same doctor who cares about ambulant and hospital treatment. The average stay in hospital after surgery is 6 to 7 days. International trends go to ambulant surgery for economical reasons. However, medical laws in Germany are quite strict and doctors who may allow their patients to leave the hospital too early have a high risk of punishment in a medicolegal follow-up after possible complications. After tonsillectomy, about 92% have less pain and health complications within four weeks.
  • 阪上 雅史
    2004 年 16 巻 2 号 p. 171
    発行日: 2004/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 愛場 庸雅
    2004 年 16 巻 2 号 p. 173-179
    発行日: 2004/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    味覚障害の原因別の治療法を概説し, その実際, 効果について述べた.血清亜鉛値70μg/dl未満の場合は亜鉛欠乏性味覚障害と診断されるが, 潜在性亜鉛欠乏も多く, 亜鉛製剤が有効である.硫酸亜鉛, ポラプレジンク, およびサプリメントによる治療がなされ, 有効率は70%前後である.投与期間は, 数ヶ月は必要である.薬剤性味覚障害の頻度は高いが, 起因薬剤の同定や証明が困難なことが多い.自発性異常味覚, 異味症, 味覚乖離など病態の不明な場合には, 漢方薬も有力な治療手段になりうる.亜鉛のみではなく, 各種のビタミン, ミネラルの補給も重要であり, 患者の生活全般の在り方を考えた食事, 栄養指導が必要である.
  • 池田 稔
    2004 年 16 巻 2 号 p. 181-185
    発行日: 2004/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    味覚障害の原因には, 末梢神経あるいは中枢の味覚伝導路に対する直接的な障害による一次性といえるものから, 他疾患により二次的に生じてくるものまで種々のものがあり, その病態は多様である.その中でも頻度の高い原因は, 亜鉛欠乏により生じてくる味覚障害, 服用薬剤による障害, 全身性疾患に伴う障害など, 二次的な障害である.味覚障害の発症に関与する因子としてこれまでに比較的よく検討がすすめられてきたのは, 必須微量元素のひとつである亜鉛との関係であり, 本稿では種々の味覚障害の原因のうち, 亜鉛欠乏性, 特発性, 薬剤性, および全身疾患性の味覚障害について, 主に亜鉛との関連を中心に述べてみた.
  • 井之口 昭
    2004 年 16 巻 2 号 p. 187-191
    発行日: 2004/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    味覚障害を訴える患者は視診では異常所見のないことが多いため, 味覚障害の有無・程度を正確に捉えることが極めて重要である.日常臨床で汎用している電気味覚検査と濾紙ディスク法のうち, 電気味覚検査はスクリーニングテストとして用いられることが多く, 症例の経過を追うのにも有用である.濾紙ディスク法は障害のより詳細な評価手段と位置づけられよう.それぞれについての長所や短所, 評価の方法, 使用上の注意点について概説する.他覚的味覚機能検査は障害の客観的評価に欠かせないものの臨床応用までには至っていない.これまでの他覚的検査開発の経緯をたどるとともに, その中で誘発電位法や脳磁図を利用した測定法が実用化に近づきつつあることを報告する.
  • 黒野 祐一, 西元 謙吾
    2004 年 16 巻 2 号 p. 193-194
    発行日: 2004/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    QOLの向上が求められる昨今の医療現場において, 味覚障害は外来診療でよく遭遇する疾患である.しかし, その診断には苦慮することも多く, また治療に難渋することもしばしば経験する.その原因として, 様々な全身的, 局所的要因が関係し, 局所所見で異常を認めないことなどが挙げられる.味覚障害に対する治療の第一歩は, その味覚障害の原因を推察するとともに, 正確に味覚機能を評価することであり, そのためには, 正確な問診, 耳鼻咽喉科的理学所見, 一般臨床検査所見を行い, これらの結果を念頭において味覚機能検査をすすめる.
  • 西元 謙吾, 黒野 祐一
    2004 年 16 巻 2 号 p. 195-198
    発行日: 2004/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    味覚機能検査のうち, 全口腔検査として全口腔法味覚検査や食塩味覚閾値判定濾紙検査法 (以下ソルセイブ法) がある.全口腔法味覚検査は検知閾値, 認知閾値を測定する閾値検査と認知閾値以上で味液の味覚の強さを評価する閾値上検査があるが日本では閾値検査を行っている施設が多い.全口腔法味覚検査, ソルセイブ法とも患者の自覚する訴えを反映する検査であるが, 検査手技が簡便でなおかつ検査時間が短時間ですむのでスクリーニングに適している.
  • 曽根 美恵子, 阪上 雅史
    2004 年 16 巻 2 号 p. 199-203
    発行日: 2004/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    今まで耳鼻咽喉科領域 (中耳, 扁桃, 喉頭) の手術後の味覚障害にはあまり注意が払われなかった.中耳手術中に一側の鼓索神経を障害しても, 全ての患者が味覚障害を訴えるわけではない.鼓索神経を保存した症例と切断した症例の味覚障害の自覚症状は保存したほうが術直後には高率だった.しかし, 保存すれば長期的に観察すると70%の症例が回復する.切断例では一時的に検査上ほとんどスケールアウトになるが, 切断端を合わせることができれば, 30%の症例で回復が期待できる.扁桃摘出術では解剖学的に舌咽神経を障害する可能性が高い.予後は比較的良好である.喉頭微細手術では喉頭直達鏡により舌根部が強い圧を受け, 味覚障害が起こる.
  • 藤井 直子
    2004 年 16 巻 2 号 p. 205-212
    発行日: 2004/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    近年マルチスライスCT装置の発展はめざましく, CT検査に大きな変革がもたらされた.診療に提供される画像のみならず, 検査そのものが従来のCTスキャン検査とは異なったものに変化しつつある.マルチスライスCTの特徴は広範囲スキャン, 高速スキャン, 高い体軸方向分解能である.広範囲かつ高速なスキャンは頭部や胸腹部領域において種々の検査法を生み出し, 治療への応用範囲を拡大したと同時にCT検査の患者負担を軽減した.耳鼻咽喉科領域においては, 高分解能データ収集により作成される詳細かつ良好な再構成像が画像診断の進歩に貢献した.
  • 斉藤 寿仁, 大塚 洋子, 倉井 宏明, 大川 真一郎
    2004 年 16 巻 2 号 p. 213-217
    発行日: 2004/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    胃食道逆流症Gastro esophageal reflux disease (GERD) は比較的新しい疾患概念で, 胃液が食道に逆流し不快な症状を起こしたり, 下部食道粘膜の障害を起こす疾患である.上部消化管内視鏡検査所見で食道粘膜にびらんや潰瘍を確認できる場合には逆流性食道炎と呼称している.本疾患の重要な特徴として胸やけなどの逆流による定型的自覚症状の有無や程度と食道粘膜の障害の程度 (内視鏡所見上の重症度) とは相関しないことが挙げられる.また, 逆流による自覚症状が非常に不快となり, 患者のQOLを著しく低下する場合があること, また様々な症状を呈することから診断治療の重要さが多くの論文にとりあげられている.
    耳鼻咽喉科領域の症状としては咽喉頭異常感 (globus sensation), 音声障害, 慢性の咳嗽, 耳痛, 喉頭肉芽腫などがあり, Laryngo pharyngeal reflux disease (LPRD) と呼んでGERDから区別して診断することが多くなった.
    GERDはいろいろな科に関係する症状を呈し, 診断に苦慮する場合も多いがプロトンポンプ阻害剤 (PPI) で劇的に症状を改善できる疾患で日常診療において常に念頭におく必要があると思われる.
  • 渡嘉敷 亮二
    2004 年 16 巻 2 号 p. 219-222
    発行日: 2004/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    咽喉頭酸逆流症 (Laryngopharyngeal Reflux Disease: LPRD) に対する関心は, わが国でも近年高まっており, 多くの報告がある.その多くは耳鼻咽喉科症状の背景因子として胃食道逆流症 (Gastro Esophageal Reflux Disease: GERD) の存在を示唆するものであり, GERDに準じた診断や治療が推奨されている.一方米国では, LPRDとGERDはまったく違った病態であると考えられており, その診断や取り扱いもGERDとは異なっている.現在, わが国では米国のような考え方はほとんど浸透しおらず, 日米間の違いは「同一の病態で重症度が異なる」というのではなく, 「病態そのものが違う」ということになり興味深い.
  • 遠藤 壮平, 木田 亮紀
    2004 年 16 巻 2 号 p. 223-227
    発行日: 2004/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    下咽頭癌の治療成績は依然として不良で, 5年生存率は50%に満たないとされる.一方で頭頸部癌に対する化学療法の効果についてはいくつかのmeta-analysisから化学療法によって生存率の延長が望め, 特に放射線化学療法の同時併用が最も効果が高いとされている.下咽頭癌に対しても, シスプラチンと5FUのNeoadjuvant療法 (NAC) で生存率を損ねずに喉頭温存率をあげられることが比較試験で示されている.放射線化学療法に関しては, 頭頸部癌全体のデータとして放射線単独群よりは生存率が有意に優れていることが示されており, 又1つのスタディでは下咽頭癌単独でも喉頭温存率が有意に高かったことが示された.本邦でも化学療法併用で50%以上の生存率の報告がされている.放射線化学療法によって少なくとも臓器温存率が向上し, 更に生存率も向上する可能性がある.今後の下咽頭癌の治療としては, 化学療法の選択肢を抜きには語れないと考えられる.
  • 長谷川 泰久
    2004 年 16 巻 2 号 p. 229-236
    発行日: 2004/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    下咽頭癌はいくつかの特徴的な病態を有する.これらの病態を踏まえた上で, 個々の下咽頭癌に対する全体の治療戦略を考えている.下咽頭癌の予後に最も重きをなす因子は頸部リンパ節転移である.この中で予後の向上を目的に咽頭後リンパ節郭清術と機能温存および低侵襲を目的とした頸部郭清術の工夫を行ってきた.音声・嚥下・呼吸機能の温存は下咽頭癌に対する治療を考える上で重要な課題である.下咽頭癌の予後が不良であり, これらの機能の温存はあくまで生存率を悪化させないという前提で成り立つ.したがって, 症例の選択と術式に工夫が必要とされる.温存すべき機能は亜部位と進展度, さらにその必要性から嚥下機能, 音声機能, 鼻呼吸の順に優先づけられる.
  • 鮫島 靖浩, 熊井 良彦, 湯本 英二
    2004 年 16 巻 2 号 p. 237-241
    発行日: 2004/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    胃食道逆流は逆流性食道炎や咽喉頭異常感症との関連で注目されているが誤嚥性肺炎の原因としても重要である.誤嚥性肺炎61例の透視像の検討では, 誤嚥を証明できなかった23例中13例は上部消化管疾患であった.このうち, 仰臥位または腹臥位にて逆流を確認できたのが5例, 食道下部に貯留を認めた例が3例, 食道蠕動運動を認めない例が1例あった.これらの症例は, 胃切除後や食道切除後, 食道裂孔ヘルニアの症例であり, 食道下部括約部機能の低下・消失により逆流が生じ誤嚥しているものと考えられた.対策としては, 1~2時間程度は座位を保ちすぐに臥床しないこと, リクライニング位での臥床などが重要である.
  • 橋本 大門, 西山 耕一郎, 永井 浩巳, 伊藤 昭彦, 正来 隆, 猪 健志, 八尾 和雄, 岡本 牧人
    2004 年 16 巻 2 号 p. 243-249
    発行日: 2004/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    舌に発生した神経鞘腫を4例経験した.1971年7月北里大学病院開院以来, 2002年9月までの31年間に当科を受診し, 組織学的に確認した舌の良性腫瘍は205例であった.そのうち神経鞘腫は4例で1.95%を占めていた.4例とも男性で, 平均年齢は30.5歳 (7歳~79歳), 発生部位は舌背が2例, 舌尖が1例, 舌縁が1例, 全例摘出を行った.自験例4例について検討した.
  • 岩井 大, 山下 敏夫
    2004 年 16 巻 2 号 p. 251-255
    発行日: 2004/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    耳下腺良性腫瘍に対する手術法は時代とともに変遷しており, 現在, 縮小手術やQOLを配慮した手技がより強く求められていると認識している.我々はこの対策として, 腫瘍の存在部位ごとの, 異なった顔面神経露出法・腫瘍切除法・Frey症候群防止法の組み合わせを行っており, 今回その選択法と手技につき紹介した.
  • 別府 武
    2004 年 16 巻 2 号 p. 257-264
    発行日: 2004/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    耳下腺悪性腫瘍に対する手術では, 術前診断をもとに詳細な手術計画を立てることが重要である.術前診断では腫瘍の浸潤範囲を正確に把握する事が何よりも重要であり, 加えて組織学的悪性度が得られれば, 顔面神経処理などの点についても詳細な計画が可能となる.一方切除に関しては, 悪性度にかかわらず十分な安全域をつけた一塊切除が最も重要である.今回は拡大耳下腺全摘術および切除後に再建術を必要とした典型的な進行性高悪性度粘表皮癌症例を提示し, 当科の耳下腺悪性腫瘍に対する手術計画, 手技について紹介した.
  • 吉田 晋也, 木田 亮紀
    2004 年 16 巻 2 号 p. 265-268
    発行日: 2004/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    副咽頭間隙腫瘍の摘出法には1) 口内法, 2) 経耳下腺法, 3) 頸部外切開法, 4) 下顎骨離断法, 5) 側頭下窩法などが報告されている.耳下腺由来の腫瘍では経耳下腺法が, 神経原性腫瘍では頸部外切開法が第一選択と考えられ, 摘出が困難な場合に下顎骨離断法を併用する.耳下腺深葉から副咽頭間隙に進展した多形腺腫の症例を提示し, 経耳下腺法の手術手技について述べる
  • 安全と安楽
    押田 茂實
    2004 年 16 巻 2 号 p. 269-274
    発行日: 2004/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    医療に関連して生じた事故を医療事故といい, 医療事故は医療のあらゆる場面において発生してくる可能性がある.医療事故が発生した場合, 患者あるいは家族や遺族が医療関係者にクレームをつけたり, 損害賠償を求めたりすると, 医事紛争になり, 患者側が裁判を提起すると, 医事裁判になる.医療事故が発生した場合には,(1) 民事責任の有無 (最も多い),(2) 刑事責任の有無,(3) 行政処分の有無が問われる.
    口腔・咽頭疾患に関する民事判決の特徴としては, 1億円を超える判決が最近4件も見られることであろう.いずれも呼吸器系と密接な関係があるので, 患者が死亡したり, 重症な身体障害例である.咽頭腫瘍生検で内頸動脈を損傷したため死亡したケースでは, 業務上過失致死罪で罰金50万円に問われている.
    医療事故防止のためリスクマネジメントで最も強調されなければならないのは, 「犯人探し」ではなく, 「真の事故原因を究明し, 事故防止のシステムを構築し, 事故を減少させること」である.
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